お知らせ・コラム

子どものデザイン思考を育てるには?家庭でできる方法を解説!

投稿日:2026年7月6日

最近、教育やビジネスの分野で、デザイン思考という言葉を耳にする機会が増えています。
書店などで「デザイン思考」と書かれた言葉を見かけた方も多いのではないでしょうか?

一方で、
「デザイン思考って絵を描いたり、見た目をきれいに整えたりする力のこと?」
「子どもにも必要なの?」
「そもそもどう育てればいいの?」

このような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

デザイン思考は、単にものを美しく見せるための考え方というわけではありません。
誰かの困りごとに気づき、その原因を考え、解決するためのアイデアを形にしていく考え方です。

正解が一つに決まっていない問題に対して、相手の立場を考えながら、自分なりの答えを導き出す。
そのような経験は、これからの時代を生きる子どもにとって、ますます重要になると言われています。

この記事では、デザイン思考の基本的な意味だけでなく、子どものデザイン思考を育てる方法について、家庭でできるアイディアも交えながら解説したいと思います。

デザイン思考とは?

デザイン思考とは、誰かが抱えている困りごとや不便さを出発点にして、解決する方法を考えていく問題解決の考え方です。
元々はデザイナーが製品やサービスを考えるときに使われた考え方でしたが、現代ではその枠を超えて様々な分野で取り入れられている思考法です。

参考リンク:https://www.ibm.com/jp-ja/think/topics/design-thinking

デザイン思考は、次のような流れで物事を考えていきます。

  1. 相手のことを調べて理解する
  2. 本当の困りごとを見つける
  3. 解決するためのアイデアを考える
  4. アイデアを形にする
  5. 試して、より良くする

ポイントは、いきなり完璧な答えを出すような考え方ではないということ。

まずは相手のことをよく知り、自分なりに考え、実際に形にしてみる。
その結果を見ながら、より良い方法へと試行錯誤を重ねるような考え方です。

例えば、『近所に買い物へ行くのが大変なお年寄り』がいたとしましょう。

  • どのような人が困っているのか? 
  • いつ、どのような場面で困っているのか。
  • なぜ困っているのか? 
  • 困りごとがなくなったら、このような人々の生活はどのように変わるのか?

デザイン思考ではこのように、いきなり解決するための製品やサービスを作り始めるのではなく、まずは相手の状況について詳しく考えます。

その上で、荷物を運ぶ道具を作ってみてはどうだろうか? 地域の人が買い物を手伝う仕組みは考えられないだろうか? など、複数の解決方法を検討していきます。

つまり、デザイン思考とは、思いついたアイデアを自由に発表するだけのものではなく、誰のためのアイデアなのかを考え、実際に役立つ方法へと近づけていくというのが重要というわけですね。

デザイン思考は特別な人だけが使うものではない

実はデザイン思考が使える場面は、日常生活の中にもあります。

例えば、
『家族が使いにくそうにしている収納を見て、並びや置きかたを変えてみる。』
『友だちが遊びに参加しにくそうにしていたら、みんなで楽しめるルールを考える。』など。

こうして見ると、相手や状況を観察し、困りごとを見つけ、改善するという点でデザイン思考が使われているのが分かるかと思います。

子どもたちにデザイン思考を教えるときも、難しい専門用語から始める必要はありません。

  • 誰が困っているのか。
  • どうして困っているのか。
  • どのような方法なら助けられそうか。

こうした身近な問いから始めることで、自然に取り組むことができるのです。

なぜ子どもにデザイン思考が必要なの?

学校の勉強では、問題に対して一つの正しい答えが決まっていることが少なくありません。

計算問題であれば数式の答えはひとつですし、漢字の読み書きにも正しい形があります。

もちろん、こうした知識や技能は大切です。

一方で、日常生活や社会の中で出会う問題には、正解が一つに決まっていないものも多くあります。

地域を住みやすくするにはどうしたらよいか。学校生活をもっと楽しくするには何が必要か。

このような問題には、唯一の答えというものが無いことも多いです。
それは置かれている状況や相手によって、必要な解決方法も変わっていくからこそ。

これからの社会において、デザイン思考に取り組むことにより、子どもたちは知識を覚えるだけでなく、その知識をどのように使うかについて考えるようになります。

自分とは異なる立場の人について考えるため、相手を想像する力も必要になります。
最初に考えた方法がうまくいかなくても、失敗と捉えて終わるのではなく、次はどう直せばよいかを考えます。

このような経験は、問題を発見する力考えを形にする力失敗から学ぶ力自分の考えを伝える力につながっていきます。

AI時代だからこそ問われる、何を解決するかを考える力

生成AIをはじめとした技術の発展によって、情報を調べたり、文章やアイデアを作ったりすることは、以前よりも簡単になっています。

子どもたちが大人になる頃には、今以上に多くの場面でAIが使われていることでしょう。

しかし、AIに質問をすれば、いつでも本当に必要な答えが返ってくるとは限りません。

そもそも、誰がどのようなことで困っているのか。何を解決する必要があるのか。

こうしたことを考え、判断を下すのは人間です。

AIが多くのアイデアを提示できる時代だからこそ、子どもには、出された答えをそのまま受け入れるのではなく、目的に合っているかを考える力が必要になります。

デザイン思考は、AIを使うための技術そのものではありません。
しかし、誰のために、何のために技術を使うのかを考える土台として、これから重要な考え方になることでしょう。

子どものデザイン思考を育てる5つの方法

デザイン思考は、必ずしも特別な教材がなければ育てられないというものではありません。
家庭での会話や遊び、日常生活の中でも、子どもが考える機会を作ることができます。

それではここからは、子どものデザイン思考を育てるために、家庭でもできる方法を紹介したいと思います。


1. 身近な困りごとを一緒に探す

最初から大きな社会問題について考えようとすると、子どもにとって難しく感じてしまいます。

まずは、家庭や学校、地域の中にある身近な困りごとを探してみましょう。

例えば、

  • 雨の日に玄関がぬれてしまう。
  • ランドセルの中がすぐに散らかる。
  • 家族がテレビのリモコンをよく探している。
  • 小さな弟や妹が片付けを嫌がる。

などなど。

このような日常の出来事で構いません。

まずはお困りごとそのものに気づくことで、子どもは今起きてる問題に対して考えを深めるようになります。
子どもが周囲の人や出来事に目を向けるきっかけにもなりますね。


2. 困っている理由を掘り下げる

困りごとが見つかったら、次に、その原因を考えます

例えば、家族がリモコンをよく探している場合、単に忘れっぽいからと決めつけるのではなく、もう少し詳しく見ていきます。

もしかしたら、リモコンの置き場所が決まっていないのかもしれない。
人によって使う場所が違うのかもしれない。リモコンが小さくて見つけにくいのかもしれない。

同じ困りごとでも、原因によって解決方法は変わります。

このとき、「どうしてこのお困りごとが起きてしまったと思う?」 という質問について一緒に考えてみることで、子どもは表面的な問題だけでなく、問題に対する背景事情について考えることができるようになります。

注意しておきたいのは、ここで質問をする時に、何度も問い詰めるように聞く必要はないということ。

本当は何が大変なのかな? 他にも理由がありそうかな?

このように、プレッシャーに感じるような質問の仕方ではなく、子どもが一緒に考えを広げられる聞き方を意識するとよいでしょう。


3. 一つの正解に決めず、複数の方法を考える

子どもが一つの解決方法を思いついたとき、すぐにそれで終わらせてしまわないことも大切です。

他に、どのような方法があるかを考えてみましょう。

例えば、リモコンを探さなくてよい方法としては、

  • 専用の置き場所を作る。
  • 目立つ色のカバーを付ける。
  • 家族で使った後のルールを決める。

など。

このように、複数のアイディアを考えることを意識して話してみると良いかもしれません。

現実的でないアイデアが出ても、すぐに否定する必要はありません。
自由に考える段階と、実現できるかを考える段階を分けることで、子どもは発想しやすくなります。

道具を作るとしたら、「どのようなものが良いかな?」 新しいルールを作るとしたら、「どんなルールが良いと思う?」

このような問いかけで、考え方の方向を広げることができます。


4. 実際にできそうかを考える

アイデアが出たら、その方法を実現するには何が必要かを考えます。

どのような道具や材料が必要か。危ないことや難しいことはないか。など。

出てきたアイデアをそのままにせず、現実に近づけるためには、このような視点が欠かせません。

このとき、できないからといってすぐに終わりにするのではなく、

作るのが難しい部分はどこかな? もっと簡単にする方法はないかな? と考えることで、アイデアを修正する経験ができます。


5. 考えたことを形にして伝える

頭の中だけで考えていると、アイデアの分かりにくい部分や、足りない部分に気づきにくいこともあります。

そこで、考えたことを何らかの形にしてみましょう。

紙に絵を描いたり、スライドにまとめてみるなど。目に見える形にすることで、自分の考えを整理しやすくなります。

可能であれば形にしてもらった上で、説明してもらうのも良い経験になります。

自分の考えをまとめて伝える経験は、考えを整理し、見直し、より良くするための成長の機会になることでしょう。

子どものアイデアをすぐに否定しない

時には子どもが考えたアイデアの中には、大人から見ると実現が難しいものもあるでしょう。

例えば、空を飛ぶ車を作る。すべての家事をしてくれるロボットを作る。どこにでも一瞬で移動できる機械を作る。など。

このような答えを聞くと、つい「現実にはそんなものは無理だよ」と伝えたくなるかもしれません。
そんな時はいったんその気持ちをぐっと抑えてみてください。

アイデアを考え始めた段階で真っ向から否定されると、子どもは正しい答えを当てなければならないと感じるようになります。
これは子どもならではの長所である「自由な発想」を阻害する原因にもなります。

デザイン思考では、最初から完璧な案を求める必要はありません。

まずは自由に考え、実現化が難しいアイディアが出たとしても、その後のコミュニケーションを通じて実現する方法を検討していく事ができます。

例えば、もっと簡単な方法で、似たことはできないかな? どの機能なら作れそうかな?

このように問いかければ、夢のようなアイデアを、現実的な提案へと少しずつ近づけることができます。

大切なのは、できるか、できないかだけで判断するのではなく、どうしたらできそうかを一緒に考えることです。

自由に作るだけではデザイン思考にならないこともある

子どもの創造力を育てる方法として、自由工作や自由研究を思い浮かべる方も多いでしょう。

自由に作る活動は、自分の興味を深めたり、発想力や創造力を広げたりする上で大きな意味があります。

一方で、「はい、じゃあ自由に作ってね」と、ただ手放しで好きなものを自由に作らせるだけでは、うまく作れない子もいます。

創作活動においては、完全に自由な活動だけでなく、考えるためのテーマや問いが用意されていることも大切な要素になることが多いです。

自由に発想できる余地を残しながら、誰のために、何を解決するのかという枠組みを示すことで、子どもはより深く考えられるようになります。

Bee Creativeで身に付くデザイン思考とは?

Bee Creativeのプレゼンテーションコースでは、小学生がGoogleスライドを使いながら、考えたことを整理し、人に伝える方法を学びます。

このコースの授業には、お困りごとを解決するには?というお題があります。

このお題では、まず子どもが身の回りにいる困っている人を考えます。

例えば、買い物へ行くのが大変なお年寄り、仕事が忙しく家族との時間が取れない人、勉強が難しいと感じている子どもなどです。

その上で、どのような場面で困っているのか、困りごとがなくなったらどのように生活が変わるのかを考えていきます。

次に、困りごとを解決する方法として、便利な道具を考える、新しい仕組みを考える、新しい会社やサービスを考えるといった複数の方向からアイデアを出します。

さらに、アイデアを実現するためには、誰の協力が必要か、どのような道具や費用が必要か、実際に行うときにどのような問題が起こりそうかまで考えます。

最後は、調べたことや考えた解決策をスライドにまとめ、プレゼンテーションとして発表します。

この一連の流れは、相手を知り、課題を見つけ、解決策を考え、形にして伝え、振り返るというデザイン思考の考え方を元に作られています。

Bee Creativeでは、プレゼンテーションの操作や発表方法を学ぶだけでなく、誰かのために考え、自分なりの解決策を提案する経験を大切にしています。

近年、プレゼンテーションをする機会が学校の中でも増えています。さらには大学受験の場でも重視されるスキルとなってきています。
大人になってからも使うことが多いプレゼンテーションスキルを学べるよう、Bee Creativeでは実践的な授業を用意しています。

まとめ

デザイン思考とは、誰かの困りごとに気づき、原因を考え、解決方法を形にしていく考え方です。

子どものデザイン思考を育てるためには、考えるきっかけとなる問いかけが大切です。
これには周囲との対話、コミュニケーションの機会が重要になってきます。

それにより子どもは一つの正解を探すだけではなく、自分なりに問題を捉え、解決策を考えられるようになります。

また、考えたアイデアを絵や工作、スライドなどの形にし、人に伝える経験も欠かせません。
人に伝えることで、自分の考えを整理し、足りない部分に気づき、より良い方法へと改善できます。

これからの社会では、与えられた問題に正しく答える力だけでなく、まだ答えのない問題を見つけ、自分なりの方法で向き合う力が求められます。

デザイン思考は、そのための土台となる考え方の一つです。

日常の小さな困りごとを見つけるところから、親子で一緒に考えてみてはいかがでしょうか?

Bee Creativeの授業が気になったという方は、こちらから教室をお探しいただけますので、ぜひご覧くださいませ。

この記事を書いた人

松永昴
松永昴Bee Creative事業責任者
ICT教育および教育コンテンツの企画制作に長年携わり、ITを使いこなす力の育成を軸に教材開発を行う。
現役のJAPAN MENSA会員でもあり、学生時代は米国カリフォルニア州の大学へ留学し映画学を専攻。第1回妙善寺映画祭審査員特別賞受賞。教育だけでなく本格的な映像制作・表現活動に取り組むクリエイターの側面も合わせ持つ。
現在は教育分野での知見とクリエイティブ領域での経験を掛け合わせ、創造力の育成をテーマにした学びに資する教材開発と普及に力を注いでいる。
ポートフォリオサイト(https://fori.io/subarumatsunaga)
note:Bee Creativeの中の人(https://note.com/beecreative)

«