創造的思考(クリエイティブシンキング)とは?子どもの教育で重視される背景と育て方
投稿日:2026年1月8日

「創造力を伸ばしたい」と聞くと、絵や工作が得意、アイデアがひらめく、といった“センス”の話をイメージする方も多いかもしれません。
けれど近年、教育の世界で重視されている「創造的思考(クリエイティブシンキング)」は、特別な才能の話というよりも、子どもが学びの中で身につけていく考え方として扱われています。
この記事では、創造的思考とは何か、そして子どもの教育の中でこの力をどう育てていけるのかについて、一緒に考えていければと思います。
創造的思考(クリエイティブシンキング)とは
まず創造的思考とは、正解が一つに決まらない課題に向き合うときに、さまざまな可能性を出し、より良い案へと磨いていく思考のプロセスです。
OECD(経済協力開発機構)は、PISA 2022(※)の創造的思考の評価について、次のような力を扱うと説明しています。
※PISAとはOECD加盟国を中心として3年ごとに実施される国際的な学習到達度テストのこと。文部科学省の学習指導要領の改訂にも影響を与えると言われている。
- 多様で独自性のあるアイデアを生み出すこと
- 出したアイデアを評価し、改善していくこと
- コミュニケーションや問題解決の文脈でそれを行うこと
つまりこれによると、創造的思考とは「思いつく力」だけではなく、「考えた案をより良くしていく力」まで含んだ概念ということが分かります。
参考:OECD: PISA 2022 Creative Thinking OECD: New PISA results on creative thinking(PDF) OECD: PISA 2022 Assessment and Analytical Framework(PDF)
「ゼロから生み出す」だけが創造ではない
創造という言葉には「まったく新しいものを生み出す」イメージがありますが、教育の文脈では、もっと身近で現実的な姿として捉えられます。
たとえば、既に知っていることを別の場面で当てはめる。似た例からヒントを探す。複数の情報を結びつける。といった思考も創造的な行動です。
株式会社ベネッセ i-キャリアの記事でも、創造的思考力を「情報を関連づけたり、類推して考える力」として説明しています。
0から1を作るというイメージがどうしてもある『創造』という言葉ですが、それだけではないということですね。
参考:ベネッセ i-キャリア:創造的思考力とは(GPS-Academic)
なぜ今、子どもの教育で創造的思考が重視されているのか?
では、なぜ今「創造」というキーワードが教育の現場で使われるようになってきているのでしょうか?
大きな要因としては、社会の変化によるものと言われています。
社会の変化が速くなるほど、「知っている」「手順どおりにできる」だけでは対応が難しい場面が増えていきます。
AIの発達により、ただ知識を知っているだけではこれからの社会で対応しきれないという側面もありますね。
だからこそ教育の現場では、知識やスキルを土台にしながら、考えて、判断して、表現する力を育てることが強く意識されるようになってきています。
文部科学省は学習指導要領の方向性として、学校教育で重視すべき資質・能力を大きく3つの柱で整理しています。
- 知識・技能
- 思考力・判断力・表現力等
- 主体的に学習に取り組む態度
また、各教科等の中で「知識・技能を活用する学習活動」や「探究的な活動」を充実させることも示されています。
参考:文部科学省(学習指導要領の考え方)
新しい学習指導要領等が目指す姿(資料)
改訂の基本的な考え方(学習指導要領)
学習指導要領の趣旨・内容(分かりやすい解説)
創造的思考は、こうした「思考力・判断力・表現力」や「探究的な学び」と、とても相性が良い力です。
知識を覚えるだけで終わらせず、使ってみる。組み合わせてみる。より良くしてみる。という学び方が、そのまま創造的思考の育成につながっていきます。
子どもの創造的思考は、どうすれば育つの?
さて、ここまで書いてきた創造的思考ですが、ただ自由に任せるだけで自動的に伸びるものではありません。
子どもが考えを前に進められるように、大人側で次のような支えを用意することが大切です。
1. 正解が一つに決まらない問いに触れる
創造的思考は、「答えを当てる」場面よりも、「答えをつくる」場面で育ちやすくなります。
- 他の方法はないかな?
- もし条件が変わったらどうなるかな?
- 誰に向けて、どう伝えたらよいかな?
こうしたコミュニケーションを通じた問いがあると、子どもは自然に発想を広げたり、比べたり、工夫したりし始めます。
2. 考え方のヒント(型)を渡す
子どもは、ただ白紙の状態から「はい、自由にやってみて」と言われるだけだと、かえって止まってしまうことがあります。 なので、考える順番や視点のヒントを用意してあげられるようにしましょう。
そうすると、創造的思考の入り口に立ちやすくなります。
- 似ている例を探す(経験・事例を見つけられるサポート)
- 情報を関連づける(原因と結果、共通点と違いを見つけられるサポート)
- 組み合わせてみる(AとBを足して別の形にできるサポート)
- 一度つくってから直す(改善して良くするためのサポート)
これは、創造を「ひらめき」ではなく、「試しながら良くしていくプロセス」として扱う。という意味でも大切です。
3. 試行錯誤できる空気をつくる
創造的思考の学びでは、途中でうまくいかないことが当たり前に起こります。 その時に「間違えたからダメ」ではなく、「次はどうする?」と、切り替えられる環境があると、子ども自身も安心して挑戦できます。
- 一回で完成しなくていい
- 作り直していい
- 人と違ってもいい
このような心構えで余裕を持たせてあげられると良いですね。
家庭や教室でできる、創造的思考を育てる声かけ例
最後に、日常の中で使いやすい声かけ例をいくつか紹介します。
ポイントは、子どもに答えを渡すのではなく、考え方を促すことです。
- どこが一番うまくいったと思う?
- もし、もう一回つくるなら、どこを変えてみる?
- これの方法以外に、別のやり方はあるかな?
- これを伝える時に、その人に合う見せ方って何だろうね?
- 似たものを見たことってあるかな? そこからヒントを借りられそう?
このような問いかけがあるだけで、子どもは「考えてよい」「試してよい」と感じやすくなります。
Bee Creativeが大切にしたいこと
Bee Creativeでは、知識や操作を覚えることをゴールにせず、学んだことを使って「つくる」「伝える」までを一つの学びとして設計しています。
創造的思考は、特別な授業で突然育つ力というよりも、日々の学びの中で「考える順番」や「試行錯誤の経験」を積み重ねることで育っていく力です。
だからこそ、子どもが安心して挑戦し、考えを形にし、相手に届ける経験を積める学習環境を、これからも大切にしていきたいですね✨
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この記事を書いた人

- Bee Creative事業責任者
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ICT教育および教育コンテンツの企画制作に長年携わり、ITを使いこなす力の育成を軸に教材開発を行う。
現役のJAPAN MENSA会員でもあり、学生時代は米国カリフォルニア州の大学へ留学し映画学を専攻。第1回妙善寺映画祭審査員特別賞受賞。教育だけでなく本格的な映像制作・表現活動に取り組むクリエイターの側面も合わせ持つ。
現在は教育分野での知見とクリエイティブ領域での経験を掛け合わせ、創造力の育成をテーマにした学びに資する教材開発と普及に力を注いでいる。

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